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宝永町248番地 第3話 [Wessay]

幼稚園

どうやらぼくも幼稚園というところに行くことになるらしい。
近所のともだちの中にはもう行っている子もいる。同じ年でもう行っている子がいるのに、どうしてぼくは行かないんだろう。
疑問の気持ちといっしょに少しだけ羨ましさと寂しさも感じていた。
でもやっと行かせてもらえるらしい。ともだちに追いつける。

どこの幼稚園に行かせるのか、親たちが相談していた。
選択肢は少ないらしく、穏便に、かつ呆気なく話し合いは終わったみたいだ。どうやら結局、「なんとか付属幼稚園」というところに行かせることに決まったらしい。

「付属」という意味はわからないが、何か特別な場所を表す言葉のような気がする。
なんとなく立派な感じもする。こわいけど、ちょっとくすぐったくてうれしい。
そこは家からあまり遠くないようだが、もちろん行ったことはないし想像もつかない。

入園式の記憶はない。でもおかあちゃんに手を引かれて連れて行かれたと思う。
そこはぼくにとって未知のそして圧倒的に広くて大きいスペース(場所)だった。
見知らぬ沢山のおとなたちと、もっと沢山のこどもたちでごった返していた。

お祭りのとき以外でこんなに大勢の人の中に入るのははじめてだ。
でも不思議と恐さはどこかに消え去っていた。
中にはもじもじしている子や親に何か叫んでいる子もいるけど、
大人たちは皆ニコニコしていて、どうやら楽しいことが起こりそうだ。

そしてぼくは「高知学園付属幼稚園」の“年長さん”にいきなりなったのである。

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